溝口健二は1929年、大阪朝日新聞社からの依頼を受けて創立50周年記念無声映画、『朝日は輝く』を監督作成した。一見ドキュメンタリー風だが、実は脚本・俳優を使った宣伝用創作映画で、太秦で撮影されたモキュメンタリ―である。とはいえ大阪朝日新聞社印刷所の実写も大胆に挿入され、当時の輪転機や鋳型活字、植字工の働きぶりなど、非常に興味深い映像となっている。
残念なことに作品の大半は紛失してしまい、現存する25分ほどの無音リールも画像は決して鮮明とはいえないが、貴重な映像資料として取りあげることにした。以下に紹介するのは作品の一部分で、背景音楽は弊研究所が加えたものである。
スピード感あふれる迫力満点の画面からは、無声でもここまで魅せる溝口の底力を目の当たりにできる。1929年当時の映画製作水準はなかなか高かったのだ。また、「エイゼンシュテインを見ていたのか」と思わせるようなカメラワークもあるが、『戦艦ポチョムキン』等の作品は日本では1950年代まで封殺されていたそうだから、溝口は見ていなかったはずだ。その辺りの事情は研究者のほうが詳しいだろう。
原作:大阪朝日新聞
監督:伊奈精一、溝口健二
脚本:木村千疋男
撮影:横田達之、対島寅雄
出演者:中野英治、村田宏寿、沢蘭子、斎藤紫香
(他に土井平太郎、入江たか子などの出演記録が残っているが今回抜粋した部分には登場していないと思われる)
なお、この作品の今回取りあげなかった部分には、大陸に拡大していく日本の物資輸送の実写もふくまれている。日活の資料によると元作品は77分だそうで、現存しないのがまことに残念である。
👇溝口健二『朝日は輝く』より抜粋👇
(モノクロ無声・背景音楽は付加)
昭和初期の新聞はこうやって作られていた。溝口健二監督宣伝フィルム、『朝日は輝く』。 (29 Jun 2024、13分31秒、YouTubeより。画面右下の▢で大画面になります)












