ヨハンナ比較文化研究所
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学問・科学

2025年秋のお薦め図書

(1) クレムリンの5000日:プリマコフ政治外交秘録
エヴゲニー・プリマコフ著、鈴木康雄訳
NTT出版2002年発行 本体3,500円+税
 プリマコフ(Евгений Примаков) は元々はジャーナリストだったが、ゴルバチョフおよびエリツィンの時代に外交官や首相としてクレムリンの政治に深く関与する。ソ連、ロシアの政権内部だけではなく、地球規模の外交がどういうふうに運ぶのかを理解できる貴重な手記である。現在のモスクワ対ワシントンの駆け引きを見るためにも参考になる。
クレムリンの5000日: プリマコフ政治外交秘録
エヴゲニー プリマコフ
エヌティティ出版
2002-03-01


(2) 戦争広告代理店
高木徹著
講談社2005年発行 本体619円(税別)
 ボスニア紛争で、米国の広告代理店が作り上げた「セルビア人=加害者」という善玉悪玉作戦が、ユーゴスラビアの運命を決定し、NATO軍の空爆につながっていく。PRに莫大な費用と労力をかけ、強引に「真実のイメージ」を造り上げたものが勝利するという現代政治の怖ろしさを、著者は緻密かつ的確に取材している。


(3) 上海時代:ジャーナリストの回想(上・中・下)
松本重治著
中公文庫 1989年発行 各540円から560円
 昔のジャーナリストのインテリ度はすごかった。1899年生まれの松本重治は日本新聞聯合社上海支局長になり、日中戦争をなんとか回避しようと奔走する両国の人物と交流し続ける。読みながら実らなかった努力の跡を考える。



(4) 後悔するイヌ、嘘をつくニワトリ
ペーター・ヴォールレーベン著、本田雅也訳
早河書房 2021年発行 本体900円+税
 動物に恥じらいや後悔はあるのだろうか、利他主義の行動をとることがあるのだろうか、下心はあるのだろうか、など意表をつく疑問に答えを見つける観察記録。自然や共生する動物たちの姿を伝えるベストセラー作家、ヴォールレーベン(Peter Wohlleben)の楽しく読めて、人間社会についても考えさせられる良書。



☟ドイツ語原本はこちら



ウインズロウ・ホーマー(Winslow Homer):奴隷解放宣言直後のアメリカを描く

 米国の画家、ウィンズロウ・ホーマー(1836-1910)は、奴隷解放宣言直後の労働者や児童の姿をとらえた作品を数多く残したことでよく知られている。南北戦争に北軍側雑誌画家として従軍し、その後は田園や港で働く人々と子供たちを描き続けた。非常に多作な画家で、特に海や帆船を描いた作品群が有名だが、解放後のアフリカ系アメリカ人の日常を大きなテーマとしてとらえた作品も重要で、見ごたえがある。(以下に掲載した絵画はクリックして拡大画面でご覧ください。)

Market_Scene_Nassau_by_Winslow_Homer_1885
ナッソーの水上市場(1885)

Winslow_Homer_-_Dressing_for_the_Carnival
カーニバルの装束(1877)

 上の作品はアフリカン・アメリカンの間で恒例の仮面舞踏祭、ジャンカヌー(Junkanoo)を描いた1877年の油絵である。右下の少年が星条旗を握っているのは、このお祭りが7月4日に重ねて開催されていたかららしい。子供たちの姿から、奴隷解放宣言から15年ほどたつにもかかわらず、生活は楽ではなかったことがうかがえる。

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昭和初期の新聞はこうやって作られていた。溝口健二宣伝フィルム『朝日は輝く』

 溝口健二は1929年、大阪朝日新聞社からの依頼を受けて創立50周年記念無声映画『朝日は輝く』を監督作成した。一見ドキュメンタリー風だが、実は脚本・俳優を使った宣伝用創作映画で、太秦で撮影されたモキュメンタリ―である。とはいえ大阪朝日新聞社印刷所の実写も大胆に挿入され、当時の輪転機や鋳型活字、植字工の働きぶりなど、非常に興味深い映像となっている。 残念なことに作品の大半は紛失してしまい、現存する25分ほどの無音リール画像は決して鮮明とはいえないが、貴重な映像資料として取りあげることにした。以下に紹介するのは作品の一部分で、背景音楽は弊研究所が加えたものである。

  スピード感あふれる迫力満点の画面からは、無声でもここまで魅せる溝口の底力を目の当たりにできる。1929年当時の映画製作水準はなかなか高かったのだ。また、「エイゼンシュテインを見ていたのか」と思わせるようなカメラワークもあるが、『戦艦ポチョムキン』等の作品は日本では1950年代まで封殺されていたそうだから、溝口は見ていなかったはずだ。その辺りの事情は研究者のほうが詳しいだろう。

原作:大阪朝日新聞

監督伊奈精一溝口健二

脚本木村千疋男

撮影:横田達之対島寅雄

出演者中野英治村田宏寿沢蘭子斎藤紫香

(他に土井平太郎入江たか子などの出演記録が残っているが今回抜粋した部分には登場していないと思われる)

 

 なお、この作品の今回取りあげなかった部分には、大陸に拡大していく日本の物資輸送の実写もふくまれている。日活の資料によると元作品は77分だそうで、現存しないのがまことに残念である。

 
👇溝口健二
『朝日は輝く』より抜粋👇
(モノクロ無声・背景音楽は付加)
 
昭和初期の新聞はこうやって作られていた。溝口健二監督宣伝フィルム、『朝日は輝く』。 (29 Jun 2024、13分31秒、YouTubeより。画面右下の▢で大画面になります)


芸術家たちの闇:クラシック音楽の場合

 以下に並ぶ記事は、クラシック音楽の世界で生じた不祥事の数々である。どれも非常に深刻な事件なのになぜか世間は忘れたがるので、備忘録として載せておく。主観的な注釈は避けるが、若い音大生たちは身の回りに腑に落ちないことが起こったら、必ず友人や信頼できる大人に相談すること。たいていのケースに余罪がある。


行動支配と感情的な虐待:クラシック音楽の教授法は壊れているのか?音楽学生が初めて語り始める経験(2023年7月11日、The Standard)

Controlling behaviour, emotional abuse – is classical music teaching broken?

Music students are speaking out about their experiences during their studies, many for the first time



偽終止:元音楽学生がジュリアードの複数の教師を性的非行で告訴 (2022年12月13日、npr, Deceptive Cadence)

Former music students accuse two Juilliard teachers of sexual misconduct



チータム音楽学校の性的虐待取り調べ:「広範囲の虐待」報告が30件以上(2013年5月8日、The Independent)

Chetham music school sex inquiry: More than 30 report 'widespread abuse'

39 teachers from several schools under investigation in relation to sexual abuse allegations



フランシス・アンドラーディ審問:性的虐待事件被害者のバイオリニストは「私が裁判にかけられている気分よ」と夫に語った(2014年7月7日、Manchester Evening News)
(※アンドラーディは権威ある聖歌隊指揮者に性的虐待を受けた過去を告白、裁判に訴えていた最中の2013年1月に自殺した。)

Frances Andrade inquest: I thought I was on trial, tragic Chetham's sex abuse case violinist told husband

Musician had spiralled into 'incredible despair' over court case involving her pervert former music teacher Michael Brewer, hearing is told



モンドリアンがもんどり打ってたって?まあそんなもんでしょ

 オランダの画家、ピート・モンドリアンの絵が75年間ものあいだ上下逆さまに展示されていたそうだ。問題の作品は『New York City 1』と名付けられた1941年作品で、1945年にニューヨーク近代美術館で紹介され、1980年以降はデュッセルドルフにあるノルトライン=ヴェストファーレン美術館に展示されるようになった。写真で拝見した限りではかなり大きな作品だが、作風からいって、逆さまであっても別に誰も文句は言わないだろう。同館では保管上の問題もあり、これからも逆さまのまま展示を続けるそうだ。

 てなわけで、今回は折角なのでモンドリアンとカンディンスキーの作品を数点紹介する。ただし1点を除いてすべて上下逆さまか左右に寝転がしてある。どれが正位置の作品か推測しながら、ゆっくり鑑賞してほしい。(以下に紹介する作品群は問題になった逆さまの絵、『New York City 1』ではありません)

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続・ウクライナについての小さな情報(続報あり)

 ウクライナの紛争について参考になる記事や動画を3月にまとめたが、その後もさらにあふれんばかりの情報が入ってくる。とりあえず続編をこちらにまとめておく。少し煩雑になってしまったが、ドンバスや欧州諸国、米国などの動きについて多角的に考える参考になればと思う。主に英語の情報を選んだが、その他の言語のものには英語字幕がついている。

【ウクライナ:普通にナチズム】
(ロシア語英語字幕埋込み)
Ukraine:Ordinary Nazism(7 Apr. 2022、52分22秒、Youtubeより。画面右下の▢で大画面になります)

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『Z』(1969)コスタ・ガブラス監督のアカデミー賞受賞作品

 1963年5月、軍縮とNATOからの撤退を呼びかけるギリシアの左派政治家、グリゴリス・ランブラキス(1912-1963)がテッサロニキで暗殺され、民衆の怒りは大きな抗議行動につながっていった。『Z』(1969年:アルジェリアとフランスの合作)はこの事件のドラマ映画化で、アカデミー賞を2部門で獲得している。日本でもすぐに公開され、その後しばらくはあちこちの名画座で繰返し上映されていたのだが、今ではすっかり忘れ去られてしまったようである。なお、タイトルの「Z」はギリシア語の”Ζει”、「彼は生きている」を意味し、ギリシア民衆の抵抗運動を象徴する標語にもなっている。

Costa-Gavras_en_1970
監督のコスタ・ガブラス

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ドキュメンタリー『鎖の重さ』NATOがユーゴスラビアを空爆したひどい話

 今、ウクライナ=ロシア間の戦争のひとつの原因になっているドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国は、2014年に独立を宣言したものの、西側諸国からは未だに承認されていない。ところが過去にはウクライナの近隣で、独立宣言が米英欧諸国から即座に承認された小国がいくつかある。1991年から1992年にかけて旧ユーゴスラビア領から独立した国々である。これら小国の独立は、1999年のNATO軍による空爆につながっていった。この過程を説明してくれるドキュメンタリー、『鎖の重さ』(2011、The Weight of Chains)を今回は紹介する。

 

 1980年代、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国(以下、SFRJ)のGDP成長率は6.1%で、生活水準はまずまず良かった。医療と教育はタダだし働く権利や公共交通の他、住宅も保障され、識字率は90%に達し、平均寿命は72歳だ。経済体制は、労働者協同組合自主管理による公的所有と個人企業の混合という独自の社会主義経済モデルを形成し、西欧諸国より高い成長率を示したため、市場社会主義の成功例と見なされ、国民の満足度も高かった。「ユーゴスラビアは独立のシンボルだ。この国はすべての国民にあらゆるものを提供できる。ユーゴスラビアは急速に発展し変化している。すべての人々のための自主管理社会だ」、等々。
Novi Sad Oil

1999年、NATOの爆撃を受けるユーゴスラビアのノヴィサド製油所Attribution-ShareAlike 3.0 Unported (CC BY-SA 3.0)

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『ウテ・ボックの狂った世界』(2010)ウィーンで難民の側に立つ

 ウテ・ボック(Ute Bock、1942-2018)は生涯にわたって難民を助け続けた稀有な女性である。元々ボックはウィーンの青年保護センターで教育者として働いていた。だが、周囲に多くの外国人が集まるようになり、いつしか難民に対する人道的援助に携わるようになる。さらに数々の制約に対処するため、『難民プロジェクト:ウテ・ボック』というNGO団体を設立。以来、難民が住める共同体を自費で運営し、駆け込んでくる難民に住居や食料を与えるのみならず、法的援助も行なった。100部屋を有する彼女のアパートには350人の難民が寝泊りし、1000人のホームレスが宛先住所として登録していた。NGOの資金は「Bock auf Bier」(「ビールが欲しい」ぐらいの意味。Bock Beerというビールの名前にかけている)という、ビールの代金の一部が寄付されるキャンペーンで支えられた。NGOの活動はボック亡き後も続いている。

 

 映画、『ウテ・ボックの狂った世界』(Die verrückte Welt der Ute Bock、2010、監督はフッシャング・アッラフヤリ、Houchang Allahyari)はドキュメンタリーではない。かと言って、ドラマでもない。実在の人物や起こった事件を本人や関係者たちに再現させるが、その場面にカール・マルコヴィクスなどプロの役者も登場する。つまり、現実と虚構の境を越えた映画作りとなっている。

1024px-Bock_for_President,_Audimax,_31.10.2009_(4)Houchang Allahyari (l.) mit Ute Bock und seinem Sohn Tom-Dariusch Allahyari bei der Vorpremiere von Bock for President (Viennale 2009)

 Attribution-ShareAlike 3.0 Unported (CC BY-SA 3.0)

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ウクライナについての小さな情報(続報あり)

ウクライナvsロシア紛争が続いている。とても心配な情勢だが、ゼレンスキーがチェルカッシ&オデッサの局長にウクライナ右翼国粋主義集団Aidar Battalion指揮官だったマルシェンコ(Maksym Marchenko)を指名したという報道を受けて、ほんのちょっと前までの現代史がわかる映像を臨時で紹介する。ほんとうに心配だ。物騒な記事なので、紛争がおさまれば回収したい。

《TIME:2021年1月9日報道》ウクライナの白人至上主義武装組織の内情(取材は2019年夏に行なわれたもので、米国報道陣ははるか以前から知っていたという事になる) 
Inside A White Supremacist Militia in Ukraine(TIME、8分12秒、Youtubeより。画面右下の▢で大画面になります)続きを読む

亀井文夫『日本の悲劇』(1946):GHQに没収されたニュースリール満載ドキュメンタリー

 亀井文夫は面白い人物で、戦中は強い反戦思想に基づいて映画を制作していたわけではない。もちろんそんな事はできるはずもなかったのだが、その代わりに割とまじめに国策協力映画を作ろうとした。おそらく当時の知識人の大半がそうだったように、「こんな戦争はだめだ」と内心では思いながらも大戦景気にあやかり、時代に飲み込まれながら何とかうまく生きる道を選んだのだろう。著書『たたかう映画』(1989)を読むかぎり、ドキュメンタリーにおける方法論も今日的観点からは必ずしも肯定できるものではないし、それでも人間としての最後の一線は越えないようギリギリの映画作りをしていた様子が、文脈からうかがえる。

 だが、作品には本音が出る。結局、戦意高揚のために制作したはずの『戦ふ兵隊』(1939)は、内務省の検閲で上映不許可になり、果ては投獄されてしまう。戦後には、晴れてものが言えるとばかりに『日本の悲劇』(1946)を制作するが、今度はGHQによって没収される。踏んだり蹴ったりである。亀井文夫とは、統治者が誰に替わろうとも都合の悪い映画しか作れない監督なのだ。

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亀井文夫(1908-1987)

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動画:画家は馬を描くのです。(その2)アンリ・トゥールーズ=ロートレック、エドガー・ドガ、ギュスターヴ・ドーア

 馬をたくさん描いた画家の代表格は、やはりトゥールーズ=ロートレックだろう。当時の生活に不可欠であった乗り物としての馬、狩猟の道具としての馬、乗馬の友としての馬を、非常によく好んで描いている。その動きの正確さは言うにおよばず、馬という動物をよく知っている描き方である。現代人は馬と共に生活をしていないから分かりにくいかも知れないが、猫好きが猫のしぐさや癖をよく知っているようなものだ。パリでの屈折した生活や、キャバレーやサーカスのポスターのほうが有名な画家ではあるが、故郷アルビの生活とともに描かれた馬は、彼の内面をよりよく説明してくれる。

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トゥールーズ=ロートレックは馬を好んで描いた。この作品では馬が「だく足」であることがわかる。

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動画:画家は馬を描くのです。(その1)ドラクロワ、ジェリコー、ダ・ヴィンチ

 古来、あらゆる画家が馬を描いてきた。習作であったり物語の小道具であったり。だが、脇役であるはずの馬を眺めているうちに、その描き方の面白さにいつしか取りつかれてしまう。名画を「馬でまとめたい」と長年、思っていたので、ひと思いにやってみた。
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レオナルド・ダ・ヴィンチ『アンギアリの戦い』
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『対中国戦争』(2016)米国による中国包囲網としての沖縄米軍を考えるドキュメンタリー

 ジョン・ピルジャー監督(John Pilger)の2016年作品、『対中国戦争』(The Coming War on China)は、中国包囲を念頭に東アジア各国に軍を配置する米国の戦略について、現地住民の立場から検証するドキュメンタリーである。沖縄にも取材し、辺野古の島袋文子氏や彫刻家の金城実氏などがカメラに収められている。取材は日本にとどまらず、核被爆したビキニ諸島の住民や、海軍基地に反対する済州島の人々など、広範囲におよぶ。内容は2016年時点で公開された作品として見てほしい。

 

(1)プロローグ

 

 BBCCNNを始め、あらゆるニュースが南沙諸島における中国の不穏な動きを報道している。だが、「The China Mirage」の著者であるジェイムズ・ブラッドレイ(James Bradley)は主張する。「北京で一番高い建物の上から太平洋を眺めてみたらいい。米軍戦艦がたくさんいて、そのミサイルがみんな中国のほうを向いているのが見えるだろう。韓国からも米軍装備が中国のほうを向いている。日本はアメリカのげんこつを隠すグローブだしね。もし私が中国人だったら、米国の攻撃的な態度が心配になってくると思うよ」。ピルジャーの解釈はこうだ。「確かに中国は南シナ海の紛糾する島に滑走路を建設して米中の危機を煽っている。だが、脅威にさらされているのは実は中国のほうなのだという事実は、報道されない。この地図(図1)を見ればわかるように、米国のミサイルや爆撃機や戦艦が、オーストラリアからアジア・太平洋の全域にわたって、投げ縄のように中国を取り囲んでいる」。
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(図1)米軍による中国包囲網(映画からのスクリーンショット)

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目利きによるジャポニズム批判としてのモーティマー・メンペスの言い分

 10月の記事でも紹介したモーティマー・メンペス(1855-1938)は、日本の文化と芸術をこよなく愛しながらロンドンで活躍した画家である。作品は挿絵や名画の模写、著名人の肖像画から風景画まで、水彩や油絵と多岐にわたり、版画の領域ではエッチング技術にも貢献している。さらに出版の分野でも、当時としては斬新だった全カラーのイラスト入り世界紀行文集を大量に発行し、つぶれかけていた出版社を再興させたりした。

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モーティマー・メンペス

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新刊美術書『モーティマー・メンペス作品選:日本と世界と戦争と』

 新たに大型本画集、『モーティマー・メンペス作品選:日本と世界と戦争と』を発行しましたので、紹介いたします。

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A4版美術書 ¥2,530(税込み)、68ページ全カラー・日本語
収録画数85点・
発行:ヨハンナ比較文化研究所
2021年10月25日発売開始


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『日本人、初めて自由選挙に行く―1946年』占領期ニュースアーカイブに見る反共宣伝

 日本女性が戦後、初めて普通選挙に参加した様子をとらえたニュース映像が、アメリカ国立公文書記録管理局(NARA)に残っていた。どんなものかと興味をもって観てみると、記述にどうも不正確なところがある。背景などを調べるうちに、当時放映されていた「The United Newsreel」という一連のニュース番組自体が、米国内外への反共宣伝のために使われていたということがわかってきた。

 

 アーカイブを公開しているNARAのカタログには、「4月10日選挙運動と集計、共産党が暴徒を首相公邸に駆りたてる」との要約がある。そして公文書管理専門家はこの一連のニュース映像について、「1942年6月から1946年9月までの連合国側の行動を1話から9話までの合計約9分にまとめ、毎週一回公開したもので、徹底して誇張したプロパガンダ様のナレーションが加えられている」(出典参照)と解説している。

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実写カラーで見る1946年の皇居前メーデーと初の女性参加選挙(画質修正)

K Tokuda

 1946年、GHQは占領政策の一環である民主化を促進するために、皇居前広場での第17回統一メーデー開催を許可した。この短編記録映画は、当時の様子を米国空軍配属のカメラマンが撮影したものである。戦争が終わってまだ一年、平和な生活と繁栄を求めて立ち上がる人々の表情は意外に明るく、希望に満ちている。また、様々な人がデモに参加する中、釈放されたばかりの政治家たちが力強く演説する様子を、カラーでとらえたカメラマンの腕は確かだ。最後のほうには、衆議院議員選挙に初めて投票する女性有権者の姿も写っている。

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『ボストン・リーガル(シーズン4)』アラン・ショア、二大政党制は民主的なのかを問うの巻

 久しぶりに『ボストン・リーガル』を取りあげる。2008年米国大統領選の最中に放映されたシーズン4エピソード18で、二大政党制による選挙がかかえる問題点を指摘している

 

 予備選進行中のある日、アランショアの上司、シュミット(キャンデス・バーゲン)が突然、「甥のミッチーを訴えたい」と泣きついてきた。理由はこうだ。ミッチーはマサチューセッツ州のある選挙区で民主党予備選挙の誓約代理人をやっている。予備選ではヒラリー・クリントンが選ばれたのだが、ミッチーはバラク・オバマのほうが良いと信じており、選挙区民を裏切ってでもオバマに投票すると言い始めた。シュミットはこれを止めるべく、アランに法廷での弁護を依頼したわけだ。そこでアランが選んだ戦術は、民主党を訴えるという奇策だった。

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2008年ワシントン州予備選挙の様子(
Joe Mabel, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons

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『人類の惑星』(Planet of the Humans 2020)再生可能エネルギーにまつわる残念な話:マイケル・ムーア制作

 内容を紹介する前に、このドキュメンタリーはユーチューブ上で公開されていて誰でも無料で鑑賞できるが、それを妨害する動きがあるということに触れておく。9月7日、ダントツの調査報道で一目おかれているマックス・ブルメンタール率いるウェブサイト、《グレイゾーン》(The Grayzone)がこのドキュメンタリーについての長文記事を掲載した。クリーン・エネルギー産業に大資本が群がっていることを指摘したこの作品が、ユーチューブから引きずり降ろされようとしている、という内容だ。これを読むまで制作者のマイケル・ムーアは何が起こっているのかまったく知らなかったらしく、The Hillというインターネットニュースの番組インタビュー(Rising)で、以下のように述べている。

 

 すごい記事だ。僕たちが尊敬している億万長者たちが環境保護運動を牛耳ろうとしていることを映画の中で指摘されたからといって、そして環境保護運動のリーダーたちがそれに乗っかっていることを指摘されたからといって、彼らが9000語の調査書を作成してユーチューブからこの映画を排斥しようとしているなんてね。このドキュメンタリーはすでにユーチューブで900万人が視聴していたんだけど、(この事件の)おかげで他のサイトも含めて1200万人になっちゃった。そしてさらに多くの人が観るようになったよ。


windfarm

(風力発電の画像。紹介している映画からのものではありません)

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【ウィシュマさん国賠名古屋地裁第2号法廷】
12月から医師等4名証人尋問
■2025年
12月04日(木)14:30~
12月11日(木)14:30~
12月24日(水)10:30~
■2026年
1月14日(水)10:30~
1月28日(水)10:30~
 **************

※対ロシアが上手くいかなくて踵をかえしてベネズエラ。これも事実上失敗で今度はイラン。精神鑑定と24時間カウンセリングが必要な深刻な症状だと思う。

※なるほど。80年前は「現人神」に命を捧げた幼稚な民族が今度は「真のお母様」に骨までしゃぶられたってことか。

※誰かネタニヤフのことを「凡庸な悪」と言う人いる?

※原爆を落とさなくても日本は降伏していたが戦後史も変わっていただろう。まず無条件降伏までの日程が延びてソ連軍が北海道を制圧し場合によっては南進する。戦後処理は日本のどこかで南北にぶった切ってドイツのように分割する形で終結した可能性が高い。その場合、朝鮮半島の分断という悲劇はひょっとしたら免れたかもしれない。どちらにしろ日本はこの戦争で近隣諸国に多大な迷惑をかけた。《続編》もちろんそれでも原爆は落とさない方が良かったに決まっている。我が国は日本連邦共和国と日本民主主義人民共和国の二つに分かれただけだから。バラライカ弾いてカチューシャを歌って結構楽しく暮らせたと思う。

画像は西鶴一代女(1952年東宝:溝口健二監督)のスチールに自動着色+手修正

日独韓伊の米軍基地

《国会オンライン中継録画》
◎衆議院インターネット審議中継

◎参議院インターネット審議中継


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戦争の彼方
¥1650(税込)


ウィーンへの帰還
¥1650(税込)


赤いオーケストラ
¥1650(税込)


革命の内側¥1650(税込)

当研究所制作の美術書

10月1日発売開始
2026年カレンダー:読書の風景¥550(税込)

ミケランジェロ素描集
¥1650(税込)


テオドール・ジェリコーの習作
¥1650(税込)


モーティマー・メンペス作品選Ⅱ:ブルターニュ
¥1210(税込)


モーティマー・メンペス作品選:日本と世界と戦争と
¥2530(税込)


ドラクロワ素描集
¥1100(税込)


本を読む
ジャカルタ・メソッド : 反共産主義十字軍と世界をつくりかえた虐殺作戦(ヴィンセント・ベヴィンス著)

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