ヨハンナ比較文化研究所
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『休戦』(遥かなる帰郷・1997年伊映画)プリーモ・レーヴィはどうやってアウシュビッツからトリノまで帰還したか

 プリーモ・レーヴィ(Primo Levi、1919-1987)はトリノ出身のユダヤ系イタリア人化学者で、戦後はアウシュビッツからの生還者として筆をとり、記録文学を書き残した稀有な作家である。生き地獄にもがく被収容者を客観的に観察しながらも、温かい視点を失うことのないレーヴィの筆致は、読む者に人間らしさの倫理や生きることの哲学を問いかける。その貴重な作品群から、アウシュビッツ解放後の帰還の旅を述懐した『休戦』(La Tregua、1963年初版発行)が、フランチェスコ・ロージ監督によって1997年に同名映画化された。日本公開当時のタイトルは『遥かなる帰郷』になっている。忘れ去られるにはもったいない映画なので、改めて取り上げたい。


Primo_Levi_(1960)

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『金貸し』IMFの問題点を現場に取材したドキュメンタリー

 世界銀行(World BankIMFInternational Monetary Fund、国際通貨基金は世界の90%におよぶ地域に資金融資し、経済援助を続けているだがこのふたつの組織に対しては批判が多く、世界各国で50件を超える抗議行動が起こり、参加者数は100万人にのぼるといわれている。どうしてそれほど騒動を呼ぶのか、という謎を解き明かしてくれるのがロバート・リヒター(Robert Richter)監督のドキュメンタリー、『金貸し』(The Money Lenders、1994年)である。

 

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『ザ・ロビー』(The Lobby)英国労働党内「反ユダヤ主義騒動」の背景を暴くドキュメンタリー

 パレスチナ人に対するイスラエルの長年にわたる暴力行為に抗議して2005年、BDS運動イスラエルに対するボイコット投資撤収制裁運動」(Boycott, Divestment, and impose Sanctions on Israel)が始まった。イスラエルを「アパルトヘイト国家」と見なすこの運動が世界に広がるにつれて、イスラエルは自国のイメージを回復する必要にせまられた。そこで元情報部員だった人物など使って、BDSつぶしに動き出したのが、イスラエル戦略実務省である。中でもBDS運動の拠点り、パレスチナに連帯するジェレミー・コービン率いる英国労働党は、最大のターゲットになった労働党内で「反ユダヤ主義騒動」が立て続けにおこった背景でもある。イスラエルの動きを察したアルジャジーラ(アラビア語と英語でニュースを流しているカタールの放送局)は、イスラエル・ロビーがうごめくロンドンの労働党界隈に隠密の記者を潜入させた。ドキュメンタリー『ザ・ロビー』(”The Lobby”、2017年4回シリーズ)はその記録である。

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アナイリン・べヴァン:英国に国民保健サービス(NHS)を導入した男

 1948年7月5日、英国にNHS(国民保健サービス)が導入された。この制度は貧富の差なく国民すべてに医療を無料で提供するもので、それまでは貧しくて病気を治療できなかった多くの国民を救った。今日までの長い間に多少の変化はあるが、費用は基本的に国家予算で賄われる。この制度の歴史については、わかりやすいドキュメンタリーがちょっと見当たらないので、少し地味な作品を二つほど紹介する。ひとつはBBCで2008年に放映されたドキュメンタリー、『The NHS: a difficult beginning(国民保健サービ

ス:困難な始まり)』、もうひとつは同じくBBCだがウェールズ地方で2012年に放映された短編ドキュメンタリー、『Welsh Greats - Aneurin Bevan(ウェールズの偉大な人物:アナイリン・べヴァン』。2作品ともアナイリン・べヴァン(Aneurin Bevan、通称ナイ・べヴァン)という労働党の政治家に焦点があてられている。


Aneurin_Bevan_(1943)

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『ブルーノート:モダンジャズの物語』(1996)移民がつくった金字塔

 ニューヨークで1939年、ジャズ・レーベル「ブルーノート」を設立したのはベルリンからのユダヤ系移民、アルフレド・リオン(Alfred Lion)と幼なじみの写真家、フランシス・ヴォルフ(Francis Wolff)である。二人はまだ黒人差別が激しかった時代のアメリカで天才ジャズ・プレイヤーたちを発掘し、レコーディングし、その演奏風景を大胆なジャケットデザインにするというやり方で、伝説的なアルバムを次々と世に出していった。1996年に制作されたドキュメンタリー、『ブルーノート:モダンジャズの物語』(Blue Note: Story of Modern JazzJulian Benedikt監督)では、この奇想天外な仕事師たちと出会った数多くのジャズメンが当時を回想する。したがって収録時間90分の初っ端からエンディングまでハードバップのてんこ盛りとなっていて、名テイクもふんだんに紹介されている。ジャズ愛好家垂涎の、マニア向けドキュメンタリーだ。

Thelonious Monk
Thelonious Monk

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『ローマ進軍』(1962):ファシズムを下からの視点で描いたイタリア喜劇

 暗い時代の一部を切り取ったB級娯楽映画には、洋の東西を問わず掘り出し物が多い。ディーノ・リージ監督の喜劇ドラマ、『ローマ進軍』(La Marcia su Roma: 注1)も小品ながら非常に面白い映画だ。冒頭は次のようなナレーションで始まる。

 

 「1918年11月、第一次世界大戦における勝利のテーブルについたイタリアに、新しい時代がやってきました。労働者とすべての人が喜ぶ安寧の時代が到来したのです。あ、すべての人じゃないかも...」


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1922年のローマ進軍の様子

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ドイツ映画『コリーニ事件』イタリア人容疑者の謎にせまるダイナミックな法廷劇

 ドイツ映画『コリーニ事件』(2019年)は、ナチスの犯罪に関する時効問題をあつかったフェルディナンド・フォン・シーラッハの同名ベストセラー小説(2011年)の映画化だ。主役のカスパー・ライネンを演じるのは、エリヤス・エムバレク(Elyas M’Barek)。トルコ系の若手弁護士という設定を、魅力的に演じている。そして冒頭のシーンで、澄みきった青い空のような目のアップを見せてくれるのが、往年のマカロニ・ウエスタン俳優、フランコ・ネロである。なかなかいい年寄りになっている。

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Franco Nero, 36th Fajr International Film Festival. 20 April 2018

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『血と栄光:ヒトラー支配下の青春』(1982) 暗い時代のドイツ人一般家庭をえがいた米独合作教育ドラマ

 『血と栄光:ヒトラー支配下の青春』(Blut und Ehre: Jugend unter Hitler, Blood and Honor: Youth under Hitler)は、ヴェルサイユ体制下ドイツの青少年が、どのようにしてナチス信奉者になっていったのかを戦後の若者に知ってもらうため、アメリカとドイツのスタッフが協力して制作したテレビ向け教育ドラマである。1933年から1939年までの間にヒトラー・ユーゲントに参加し、蛮行を引き受けていく青少年たちの姿が克明に描かれている。脚本は、実際にヒトラー・ユーゲントを体験したヘルムート・キッセル(Helmut Kissel)。米独両国のテレビで放映する都合上、4回シリーズのすべてが英語とドイツ語でそれぞれ2回、ドイツのバーデンバーデンで撮影された。出演者は全員、英独バイリンガルの俳優だそうだ。


hartmut

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『あの頃は...ある車の物語』(1947) 廃墟となったドイツを生きた人々のドラマ

 ナチスが敗退した跡のドイツは一面、瓦礫の世界だった。だが映画製作者たちはすぐさま行動に出た。ヒトラーが倒れる以前から、戦後に制作すべき映画の構想を練っていたのだ。ヘルムート・コイトナー監督(Helmut Käutner)の『あの頃は』(In jenen Tagen)もそうした「瓦礫映画」と呼ばれる作品群のひとつである。撮影は1946年から1947年にかけてハンブルグの野外ロケのみで行なわれ、カメラは借り物、機材は闇市で入手したと記録されている。下は映画のワンシーンだが、当時のハンブルグ港付近の様子がわかる良い映像だ。

Jenen tagen 1947

(映画紹介のためのスクリーンショットなので解像度は落としてあります)


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ドキュメンタリー『ジャクソン・ポロックってどこの馬の骨?』芸術と価格と贋作に関する脱美学論的解決法

 大型トラック運転手で威勢のいい女性、テリ・ホートン(Teri Horton)は巨大なガラクタのような油絵を5ドルで購入するが、見かけた人から「それ、ポロックなんじゃない?」と言われ、自分が数千万ドルの資産を手にしているかもしれないことを知る。書画骨董の世界にはまったく無縁だった彼女は、この「ポロックらしきもの」を正当な価格で販売すべく行動にでるのだが...。ハリー・モーゼス監督(Harry Moses)のドキュメンタリー、『Who the #$&% is Jackson Pollock?』(2006)は、ピカソより値が張るといわれるジャクソン・ポロック(Paul Jackson Pollock)の未確認作品らしきものをめぐって、タヌキともキツネともつかない画商やまるで犯罪捜査のような手法を繰り広げる鑑定家、さらに刑期を終えた贋作絵描きまで集まって値段を模索する大騒動の記録である。にんまり笑える。

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『神童』:天才少年作曲家アンドレ・マチューの物語(カナダ映画)

 カナダ生まれのアンドレ・マチュー(André Mathieu,1929-1968)は、幼少のころから音楽に尋常ならぬ才能を発揮し、多くのすぐれた作品を生み出し、わずか39歳で夭逝してしまった。2010年に制作された伝記映画の原題はずばり、Lenfant Prodige=チャイルド・プロディジー(注)。才能にめぐまれ過ぎているがゆえに、周囲の重圧におしつぶされてゆく少年の過酷な人生を丁寧にたどる、地味だが余韻の残る物語である。マチューの幼少期を演ずる子役の演技も見事だし、青年期を演ずる俳優(本職はコメディアン)も非常に良い雰囲気をかもし出している。またこの映画の重要な要素であるマチューの作品群を現代の優れたピアニスト、アラン・ルヴェーヴルが演奏し、たっぷり聴かせてくれる。

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『オティリエ・フォン・ファーバーカステル:ある勇敢な女性の物語』ドイツの鉛筆会社を継いだ女性のドラマ


 19世紀半ばに鉛筆を世に出した会社、ファーバーカステルで図らずも経営者になった女性、オティリエの生涯がドラマ化され、ドイツ第一放送で放映された(Ottilie von Faber-Castell - Eine mutige Frau、2019)。『ダウントンアビー』のドイツ版と評判だが、実話に基づいているだけに前者のように荒唐無稽なお嬢様礼賛エピソードのバラマキではなく、時代に抗して自立しようとした女性の物語になっているのが良い。また、オティリエを演ずる女優、クリスティン・ズッコウ(Kristin Suckowがヒラリー・スワンクに似ていて、「お、強いっ!」と感心しながら楽しめるところも良い。(上はユーチューブ上のトレイラー)

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ドキュメンタリー『ヴィリー・ブラント:ある政治家の追憶』

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 1970年12月7日、ひとりのドイツ人政治家がワルシャワ蜂起記念碑の前にひざまずく写真が、世界をかけめぐった。ナチスの時代にあってはレジスタンスとしてノルウェーに亡命し、戦後はドイツ社会民主党(SPD)から初の首相に選ばれたヴィリー・ブラントである。彼はのドイツの罪深い過去贖罪する行動によって、ノーベル平和賞を授与され。2013年にARTE(ドイツとフランスの共同放送局)で放映されたTVドキュメンタリー、『ヴィリー・ブラント:ある政治家の追憶』(“Willy Brandt: Erinnerungen an ein Politikerleben”)は、激動の時代を生き抜いた政治家のみごとではあったが内面に深い憂鬱をかかえた生涯を、知人や朋友へのインタヴューをまじえて蘇らせる。ちなみに今日、10月8日はブラントの命日でもある。


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『ブッシュ家の資産:金で買える最上の民主主義』(2003)石油と戦争と大統領親子にまつわるBBCドキュメンタリー

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 日本のジャーナリストが政治家の不正を追及できなくなって久しい。だがこれは日本に限った現象ではなく、程度の差はあれアメリカも似たり寄ったりである先進国とされる国々で、このように名立たるメディアが似かよった報道しかできない、というのはとても閉塞的な状態だ(注1)。今回紹介するグレッグ・パラストは、過去にブッシュ大統領親子の不正をしつこく追跡し続け、アメリカでは報道されないとわかって英国に足場を移し、BBCと日刊紙ザ・ガーディアンに記事を提供するようになったアメリカ人ジャーナリストである。そしてその成果をドキュメンタリーにした作品が、2003年に英国BBCで放映された『ブッシュ家の資産:金で買える最上の民主主義』(Bush Family Fortunes: The Best Democracy Money Can Buy)続きを読む

『ハンブルグのバリケード』2017年G20における警察の過剰警備を検証するドキュメンタリー

Hamburger gitter
  ハンブルグはヨーロッパでも有数の裕福な都市である。エルベ河沿いの良港に恵まれ、歴史の刻まれた美しい街並みには都会的なファッションがあふれる。2017年、ここで開催されたG20をめぐって、市街はデモ隊と警官隊が全面衝突するという大惨事の舞台になってしまった。『ハンブルグのバリケード』(注)は、この市街戦ともいえる非常事態を、警察のとった行動に焦点を合わせて記録したドキュメンタリーである。

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ヨハンナ・アイ、ナチスから絵画を守った女性画商

 7~8年前の冬、デュッセルドルフを訪ねた。とにかく寒い日で、防寒ブーツを履いていても深々と冷える。ライン河沿いを歩きながら温かいものにありつけそうなレストランを見つけ、窓際の席に陣取った。テーブルの脇に無造作に置いてあった雑誌を手に取ると、見開きに載っているふくよかな中年女性の写真が目にとまった。ただ者ではない顔付きをしているのだ。どうも第3帝国の退廃芸術事件と関連がある人らしい。食事もそこそこに読みふけった後、ウエイトレスからボールペンを借りてペーパーナプキンに名前を書き取って店を出た。これが私とヨハンナ・アイ(Johanna Ey)との出会いである。
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【ウィシュマさん国賠名古屋地裁第2号法廷】
12月から医師等4名証人尋問
■2025年
12月04日(木)14:30~
12月11日(木)14:30~
12月24日(水)10:30~
■2026年
1月14日(水)10:30~
1月28日(水)10:30~
 **************

※対ロシアが上手くいかなくて踵をかえしてベネズエラ。これも事実上失敗で今度はイラン。精神鑑定と24時間カウンセリングが必要な深刻な症状だと思う。

※なるほど。80年前は「現人神」に命を捧げた幼稚な民族が今度は「真のお母様」に骨までしゃぶられたってことか。

※誰かネタニヤフのことを「凡庸な悪」と言う人いる?

※原爆を落とさなくても日本は降伏していたが戦後史も変わっていただろう。まず無条件降伏までの日程が延びてソ連軍が北海道を制圧し場合によっては南進する。戦後処理は日本のどこかで南北にぶった切ってドイツのように分割する形で終結した可能性が高い。その場合、朝鮮半島の分断という悲劇はひょっとしたら免れたかもしれない。どちらにしろ日本はこの戦争で近隣諸国に多大な迷惑をかけた。《続編》もちろんそれでも原爆は落とさない方が良かったに決まっている。我が国は日本連邦共和国と日本民主主義人民共和国の二つに分かれただけだから。バラライカ弾いてカチューシャを歌って結構楽しく暮らせたと思う。

画像は西鶴一代女(1952年東宝:溝口健二監督)のスチールに自動着色+手修正

日独韓伊の米軍基地

《国会オンライン中継録画》
◎衆議院インターネット審議中継

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戦争の彼方
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本を読む
ジャカルタ・メソッド : 反共産主義十字軍と世界をつくりかえた虐殺作戦(ヴィンセント・ベヴィンス著)

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