ヨハンナ比較文化研究所
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ドキュメンタリー『鎖の重さ』NATOがユーゴスラビアを空爆したひどい話

 今、ウクライナ=ロシア間の戦争のひとつの原因になっているドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国は、2014年に独立を宣言したものの、西側諸国からは未だに承認されていない。ところが過去にはウクライナの近隣で、独立宣言が米英欧諸国から即座に承認された小国がいくつかある。1991年から1992年にかけて旧ユーゴスラビア領から独立した国々である。これら小国の独立は、1999年のNATO軍による空爆につながっていった。この過程を説明してくれるドキュメンタリー、『鎖の重さ』(2011、The Weight of Chains)を今回は紹介する。

 

 1980年代、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国(以下、SFRJ)のGDP成長率は6.1%で、生活水準はまずまず良かった。医療と教育はタダだし働く権利や公共交通の他、住宅も保障され、識字率は90%に達し、平均寿命は72歳だ。経済体制は、労働者協同組合自主管理による公的所有と個人企業の混合という独自の社会主義経済モデルを形成し、西欧諸国より高い成長率を示したため、市場社会主義の成功例と見なされ、国民の満足度も高かった。「ユーゴスラビアは独立のシンボルだ。この国はすべての国民にあらゆるものを提供できる。ユーゴスラビアは急速に発展し変化している。すべての人々のための自主管理社会だ」、等々。
Novi Sad Oil

1999年、NATOの爆撃を受けるユーゴスラビアのノヴィサド製油所Attribution-ShareAlike 3.0 Unported (CC BY-SA 3.0)

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『ウクライナのファシストがなぜ問題なのか』今さら訊けないウクライナ・ネオナチの起源を専門の歴史学者が徹底的に解説

 レバノン出身のジャーナリストであるラニア・キャレク(Rania Khalek)が、ドイツ出身で現在はイスタンブールの大学で教鞭をとっている歴史学者、タリク・シリル・アマー(Tarik Cyril Amar)にインタビュー。4月6日に公開された録画では、ウクライナの極右について、その起源から現在までをソヴィエトやロシア、ドイツとの関わりも含めてかみ砕いて説明してくれる。あいにく要約を書く時間がないので、とりあえず動画だけを紹介したい。英語で1時間44分と少し長いが非常に面白い内容で、飽きずに見ることができる。動画の下に目次の日本語訳を添える。なお、Youtubeの自動字幕はあまり正確でない。


The Origins of Ukraine’s Fascists & Why It Matters, w/ Historian Tarik Cyril Amar (Youtubeより。画面右下の▢で大画面になります)

 

0:00 イントロ

2:48 ウクライナ右翼民族主義の起源

5:03 ソヴィエト時代のウクライナ

8:32 第2次大戦におけるウクライナ人のナチとの協力

14:27 ソヴィエト崩壊後のウクライナ

16:43 ソヴィエト後の右翼民族主義と歴史修正主義

21:23 ウクライナ極右の役割

27:50 米国はウクライナのネオナチを武装化しているか

33:44 アゾフ部隊の軍への浸透

38:21 メディアがナチを洗脳

49:48 2014年クーデターが極右台頭に貢献

58:30 極右のゼレンスキーへの脅し

1:06:26 グローバルな極右にとっては恩恵

1:11:07 ロシアを裏切ったNATOの約束

1:19:55 プーチンに代案はあったか?

1:25:46 さらに軍備増強したドイツと欧州の脅威

1:39:51 Tarik Cyril Amar博士についてもっと知りたい人は

 

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『ウテ・ボックの狂った世界』(2010)ウィーンで難民の側に立つ

 ウテ・ボック(Ute Bock、1942-2018)は生涯にわたって難民を助け続けた稀有な女性である。元々ボックはウィーンの青年保護センターで教育者として働いていた。だが、周囲に多くの外国人が集まるようになり、いつしか難民に対する人道的援助に携わるようになる。さらに数々の制約に対処するため、『難民プロジェクト:ウテ・ボック』というNGO団体を設立。以来、難民が住める共同体を自費で運営し、駆け込んでくる難民に住居や食料を与えるのみならず、法的援助も行なった。100部屋を有する彼女のアパートには350人の難民が寝泊りし、1000人のホームレスが宛先住所として登録していた。NGOの資金は「Bock auf Bier」(「ビールが欲しい」ぐらいの意味。Bock Beerというビールの名前にかけている)という、ビールの代金の一部が寄付されるキャンペーンで支えられた。NGOの活動はボック亡き後も続いている。

 

 映画、『ウテ・ボックの狂った世界』(Die verrückte Welt der Ute Bock、2010、監督はフッシャング・アッラフヤリ、Houchang Allahyari)はドキュメンタリーではない。かと言って、ドラマでもない。実在の人物や起こった事件を本人や関係者たちに再現させるが、その場面にカール・マルコヴィクスなどプロの役者も登場する。つまり、現実と虚構の境を越えた映画作りとなっている。

1024px-Bock_for_President,_Audimax,_31.10.2009_(4)Houchang Allahyari (l.) mit Ute Bock und seinem Sohn Tom-Dariusch Allahyari bei der Vorpremiere von Bock for President (Viennale 2009)

 Attribution-ShareAlike 3.0 Unported (CC BY-SA 3.0)

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ウクライナについての小さな情報(続報あり)

ウクライナvsロシア紛争が続いている。とても心配な情勢だが、ゼレンスキーがチェルカッシ&オデッサの局長にウクライナ右翼国粋主義集団Aidar Battalion指揮官だったマルシェンコ(Maksym Marchenko)を指名したという報道を受けて、ほんのちょっと前までの現代史がわかる映像を臨時で紹介する。ほんとうに心配だ。物騒な記事なので、紛争がおさまれば回収したい。

《TIME:2021年1月9日報道》ウクライナの白人至上主義武装組織の内情(取材は2019年夏に行なわれたもので、米国報道陣ははるか以前から知っていたという事になる) 
Inside A White Supremacist Militia in Ukraine(TIME、8分12秒、Youtubeより。画面右下の▢で大画面になります)続きを読む

『ムーラー:ある裁判の解剖学』ナチス犯罪を裁く困難を描いたオーストリア映画

 1963年、オーストリア第2の都市であるグラーツで、あるナチス犯罪人に対する裁判が始まった。被告の名はフランツ・ムーラー、元オーストリア・ナチス親衛隊曹長である。彼はナチス・ドイツ占領下のリトアニアにおいて、ヴィリニュス・ゲットーのユダヤ人を多数殺害し、「ヴィルナの屠殺人」と呼ばれた(ヴィルナはヴィリニュスのドイツ語読み。ここでは以下、ヴィルナ表記に統一する)。ヴィルナに住んでいた8万人のユダヤ人の中で、戦後まで生き延びることができたのはわずか600人である。

 

 ナチス政権が崩壊した後の1947年、オーストリア南部の村に隠れ住んでいたところを発見されたムーラーは、当時リトアニアを統括していたソヴィエトの裁判でソヴィエト市民殺害の罪により有罪になり、25年の苦役に服役していた。ところが1955年、オーストリア国家条約の締結で捕虜を釈放することになったため、ムーラーも解放された。この時、オーストリア政府は国外での収監1年を国内での5年に換算し、ムーラーは刑期を終えたことになった。

 

 いっぽう当時、アイヒマンの行方を探していたサイモン・ヴィーゼンタールは、オーストリアの農場にそれらしい人物が偽名で暮らしているという情報を得る。調査した結果、それはフランツ・ムーラーだった。こうして、グラーツに証人を集めてのムーラー裁判が始まった。

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upyernoz from Haverford, USA, CC BY 2.0,
via Wikimedia Commons
ポナリーのユダヤ人犠牲者の碑続きを読む

亀井文夫『日本の悲劇』(1946):GHQに没収されたニュースリール満載ドキュメンタリー

 亀井文夫は面白い人物で、戦中は強い反戦思想に基づいて映画を制作していたわけではない。もちろんそんな事はできるはずもなかったのだが、その代わりに割とまじめに国策協力映画を作ろうとした。おそらく当時の知識人の大半がそうだったように、「こんな戦争はだめだ」と内心では思いながらも大戦景気にあやかり、時代に飲み込まれながら何とかうまく生きる道を選んだのだろう。著書『たたかう映画』(1989)を読むかぎり、ドキュメンタリーにおける方法論も今日的観点からは必ずしも肯定できるものではないし、それでも人間としての最後の一線は越えないようギリギリの映画作りをしていた様子が、文脈からうかがえる。

 だが、作品には本音が出る。結局、戦意高揚のために制作したはずの『戦ふ兵隊』(1939)は、内務省の検閲で上映不許可になり、果ては投獄されてしまう。戦後には、晴れてものが言えるとばかりに『日本の悲劇』(1946)を制作するが、今度はGHQによって没収される。踏んだり蹴ったりである。亀井文夫とは、統治者が誰に替わろうとも都合の悪い映画しか作れない監督なのだ。

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亀井文夫(1908-1987)

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動画:画家は馬を描くのです。(その2)アンリ・トゥールーズ=ロートレック、エドガー・ドガ、ギュスターヴ・ドーア

 馬をたくさん描いた画家の代表格は、やはりトゥールーズ=ロートレックだろう。当時の生活に不可欠であった乗り物としての馬、狩猟の道具としての馬、乗馬の友としての馬を、非常によく好んで描いている。その動きの正確さは言うにおよばず、馬という動物をよく知っている描き方である。現代人は馬と共に生活をしていないから分かりにくいかも知れないが、猫好きが猫のしぐさや癖をよく知っているようなものだ。パリでの屈折した生活や、キャバレーやサーカスのポスターのほうが有名な画家ではあるが、故郷アルビの生活とともに描かれた馬は、彼の内面をよりよく説明してくれる。

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トゥールーズ=ロートレックは馬を好んで描いた。この作品では馬が「だく足」であることがわかる。

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動画:画家は馬を描くのです。(その1)ドラクロワ、ジェリコー、ダ・ヴィンチ

 古来、あらゆる画家が馬を描いてきた。習作であったり物語の小道具であったり。だが、脇役であるはずの馬を眺めているうちに、その描き方の面白さにいつしか取りつかれてしまう。名画を「馬でまとめたい」と長年、思っていたので、ひと思いにやってみた。
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レオナルド・ダ・ヴィンチ『アンギアリの戦い』
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『対中国戦争』(2016)米国による中国包囲網としての沖縄米軍を考えるドキュメンタリー

 ジョン・ピルジャー監督(John Pilger)の2016年作品、『対中国戦争』(The Coming War on China)は、中国包囲を念頭に東アジア各国に軍を配置する米国の戦略について、現地住民の立場から検証するドキュメンタリーである。沖縄にも取材し、辺野古の島袋文子氏や彫刻家の金城実氏などがカメラに収められている。取材は日本にとどまらず、核被爆したビキニ諸島の住民や、海軍基地に反対する済州島の人々など、広範囲におよぶ。内容は2016年時点で公開された作品として見てほしい。

 

(1)プロローグ

 

 BBCCNNを始め、あらゆるニュースが南沙諸島における中国の不穏な動きを報道している。だが、「The China Mirage」の著者であるジェイムズ・ブラッドレイ(James Bradley)は主張する。「北京で一番高い建物の上から太平洋を眺めてみたらいい。米軍戦艦がたくさんいて、そのミサイルがみんな中国のほうを向いているのが見えるだろう。韓国からも米軍装備が中国のほうを向いている。日本はアメリカのげんこつを隠すグローブだしね。もし私が中国人だったら、米国の攻撃的な態度が心配になってくると思うよ」。ピルジャーの解釈はこうだ。「確かに中国は南シナ海の紛糾する島に滑走路を建設して米中の危機を煽っている。だが、脅威にさらされているのは実は中国のほうなのだという事実は、報道されない。この地図(図1)を見ればわかるように、米国のミサイルや爆撃機や戦艦が、オーストラリアからアジア・太平洋の全域にわたって、投げ縄のように中国を取り囲んでいる」。
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(図1)米軍による中国包囲網(映画からのスクリーンショット)

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ドキュメンタリー『ボテロ』(2018):ふくよかな肖像に込められた芸術家の豊かな人間性

 ふくよかな『モナ・リザ』や、ダイナミックでユーモラスな彫刻群で知られるフェルナンド・ボテロ・アングーロ (Fernando Botero Angulo)は1932年、コロンビア第2の都市であるメデジンに生まれた。今回紹介するドキュメンタリー、『ボテロ』(2018、監督はDon Millar)では、この一風変わった作家の創作の秘密が、ボテロ本人の言葉で語られる。1時間24分の上映時間中、かなり多くの絵画や彫刻が画面いっぱいの迫力で紹介される楽しい映画でもある。 Embed from Getty Images


 さて冒頭、ボテロはレストランで息子や娘と食事をしながら、自分史を語り始める。父親は行商人で、ラバの背中に品物の入った袋を積んで売り歩いていた。ある日、ボテロが兄弟と遊んでいたところ、父親が「気分がすぐれないから子供をどこかへ連れて行ってくれ」と母親に命じる。そしてボテロたちが隣人の家に行ったわずか30分後、父親は亡くなってしまった。4歳のボテロにはわけが分からない。あとに残された母親は、縫製の仕事をしながら3人の子供を育てた。もちろん貧しい。そんな少年ボテロが初めて絵を売ったのは、闘牛の切符売り場である。店主に小さな水彩画を数点見せたところ、陳列ケースに飾ってくれた。小さなボテロは毎日店の前に行って自分の絵の数を数えた。そして初めて売れたとき、2ペソをもらった。少年は描き続け、真剣に絵と向き合うようになる。

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『ウクライナの内幕』米ロ対立に翻弄される国の記録をオリバー・ストーンが制作

 ウクライナにはウクライナ語をしゃべる人とロシア語をしゃべる人が住んでいる。歴史上何度か繰り返された国境線引き直しの結果なのだが、これが2000年以降の国内紛争にも反映している。どうしてそうなったかは今回紹介するドキュメンタリー、『ウクライナの内幕』(Revealing Ukraine、2019、オリバー・ストーン制作、イゴール・ロパトノク監督)の前編ともいえる作品、『燃えるウクライナ』(Ukraine on Fire、2016)に詳しい。だがかなり複雑な歴史の説明はここでは省き、2014年に起こった「マイダン虐殺事件」(注1)あたりから話をはじめよう。オリバー・ストーンが集中的にインタヴューするのはロシアとの強いパイプを持ち、ウクライナの外交には欠かせない実力者、ヴィクトル・メドヴェチュク(注2)。壁一面に鏡が張りつめられた豪華なホールで語られる話は、日ごろ私たちが聞きなれているEU諸国や米国から発信される情報とは少し違ったウクライナの事情である。

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犠牲者に花をささげるケリー国務長官

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目利きによるジャポニズム批判としてのモーティマー・メンペスの言い分

 10月の記事でも紹介したモーティマー・メンペス(1855-1938)は、日本の文化と芸術をこよなく愛しながらロンドンで活躍した画家である。作品は挿絵や名画の模写、著名人の肖像画から風景画まで、水彩や油絵と多岐にわたり、版画の領域ではエッチング技術にも貢献している。さらに出版の分野でも、当時としては斬新だった全カラーのイラスト入り世界紀行文集を大量に発行し、つぶれかけていた出版社を再興させたりした。

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モーティマー・メンペス

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『あらゆることの別の側面』(2017)セルビア民衆の心の彷徨を記録するドキュメンタリー

「10年もの間、私は夢を見続けている。彼らがいなくなって、この国に平和と民主主義が訪れることを。私は夢見ている、憎悪も腐敗も無くなることを。老人が食べ物を探してゴミをあさる必要がなくなることを。若者が当たり前に就学でき、卒業してもこの国を去っていかないことを。私は夢見ている、老人がささやかな医療を受けられることを。私は真に夢見る、毎晩この広場に集まる必要がなく、夕暮れを家族や友人とともに過ごせる日々を。でも誓って言うけれど、夢は実現しないんだとたとえ人生の最後に気づいたとしても、それはそんなに恐ろしいことじゃない。そうじゃなくて、ひとつも夢が無い人生ってのは本当に恐ろしいと思うんだ。」

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Srbijanka Turajlic シルビヤンカ・トゥライェリッチ
Medija centar Beograd, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

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新刊美術書『モーティマー・メンペス作品選:日本と世界と戦争と』

 新たに大型本画集、『モーティマー・メンペス作品選:日本と世界と戦争と』を発行しましたので、紹介いたします。

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A4版美術書 ¥2,530(税込み)、68ページ全カラー・日本語
収録画数85点・
発行:ヨハンナ比較文化研究所
2021年10月25日発売開始


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『ヴェーグルの奇跡』(2018)シルヴィオ・ゲゼルの自由貨幣を実際に流通させた町の物語

 大恐慌時代の1932年、「時間とともに減価する自由貨幣」を流通させ、経済を立て直したオーストリアのヴェーグルという町の実話が、『ヴェーグルの奇跡』(2018年)というタイトルでドラマ映画化された。演じるのは『8月の霧』や『ヒトラーの贋札』でおなじみのカール・マルコヴィクス(注1)。


(注1)カール・マルコヴィクスは、ウィーンを舞台にした90年代のテレビドラマ、『警察犬レックス』で犬嫌いの脇役をユーモラスに演じ、世界中の人気者になった。その後、数多くの劇場映画やテレビドラマに次々と登場し、その味わい深い演技が高い評価を得ている。悲劇的な史実に基づいた映画、『8月の霧』(当ブログで2017年に紹介)では、主人公の父親を演じている。 


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ヴェーグルで使われた労働金券。毎月スタンプを貼る

 オーストリアとドイツの国境に近いヴェーグルは、もともと鉄道の交差する町として発達してきた。だが1932年には大恐慌のあおりで、5000人足らずの住民のうち1500人近くが失業してしまい、ナチスが失業者相手に盛んにビラを配るような状態になっていた。税収も激減して窮地に陥ったヴェーグル町議会は、オーストリア社会民主党員で列車運転手のミヒャエル・ウンターグッゲンバーガーを、新しい町長に選出する。ミヒャエルが以前に本で読んだことのある理論上の通貨、「自由貨幣」を流通させてみてはどうか、と提案したのが採択されたのだ。貨幣そのものの価値が時間とともに減少する仕組みにすれば、貯蓄しても意味をなさず、流通に回るという理論にもとづく貨幣だ。だが、勝手に造幣するのは重罪である。結局、「労働金券」(Arbeitswertscheine) という貨幣のようで貨幣ではないものを作成しよう、ということになる。そして、町民を巻き込んだ実験が始まった。

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『日本人、初めて自由選挙に行く―1946年』占領期ニュースアーカイブに見る反共宣伝

 日本女性が戦後、初めて普通選挙に参加した様子をとらえたニュース映像が、アメリカ国立公文書記録管理局(NARA)に残っていた。どんなものかと興味をもって観てみると、記述にどうも不正確なところがある。背景などを調べるうちに、当時放映されていた「The United Newsreel」という一連のニュース番組自体が、米国内外への反共宣伝のために使われていたということがわかってきた。

 

 アーカイブを公開しているNARAのカタログには、「4月10日選挙運動と集計、共産党が暴徒を首相公邸に駆りたてる」との要約がある。そして公文書管理専門家はこの一連のニュース映像について、「1942年6月から1946年9月までの連合国側の行動を1話から9話までの合計約9分にまとめ、毎週一回公開したもので、徹底して誇張したプロパガンダ様のナレーションが加えられている」(出典参照)と解説している。

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【ウィシュマさん国賠名古屋地裁第2号法廷】
12月から医師等4名証人尋問
■2025年
12月04日(木)14:30~
12月11日(木)14:30~
12月24日(水)10:30~
■2026年
1月14日(水)10:30~
1月28日(水)10:30~
 **************

※対ロシアが上手くいかなくて踵をかえしてベネズエラ。これも事実上失敗で今度はイラン。精神鑑定と24時間カウンセリングが必要な深刻な症状だと思う。

※なるほど。80年前は「現人神」に命を捧げた幼稚な民族が今度は「真のお母様」に骨までしゃぶられたってことか。

※誰かネタニヤフのことを「凡庸な悪」と言う人いる?

※原爆を落とさなくても日本は降伏していたが戦後史も変わっていただろう。まず無条件降伏までの日程が延びてソ連軍が北海道を制圧し場合によっては南進する。戦後処理は日本のどこかで南北にぶった切ってドイツのように分割する形で終結した可能性が高い。その場合、朝鮮半島の分断という悲劇はひょっとしたら免れたかもしれない。どちらにしろ日本はこの戦争で近隣諸国に多大な迷惑をかけた。《続編》もちろんそれでも原爆は落とさない方が良かったに決まっている。我が国は日本連邦共和国と日本民主主義人民共和国の二つに分かれただけだから。バラライカ弾いてカチューシャを歌って結構楽しく暮らせたと思う。

画像は西鶴一代女(1952年東宝:溝口健二監督)のスチールに自動着色+手修正

日独韓伊の米軍基地

《国会オンライン中継録画》
◎衆議院インターネット審議中継

◎参議院インターネット審議中継


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戦争の彼方
¥1650(税込)


ウィーンへの帰還
¥1650(税込)


赤いオーケストラ
¥1650(税込)


革命の内側¥1650(税込)

当研究所制作の美術書

10月1日発売開始
2026年カレンダー:読書の風景¥550(税込)

ミケランジェロ素描集
¥1650(税込)


テオドール・ジェリコーの習作
¥1650(税込)


モーティマー・メンペス作品選Ⅱ:ブルターニュ
¥1210(税込)


モーティマー・メンペス作品選:日本と世界と戦争と
¥2530(税込)


ドラクロワ素描集
¥1100(税込)


本を読む
ジャカルタ・メソッド : 反共産主義十字軍と世界をつくりかえた虐殺作戦(ヴィンセント・ベヴィンス著)

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