ヨハンナ比較文化研究所
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差別・障碍者・社会福祉

『ウテ・ボックの狂った世界』(2010)ウィーンで難民の側に立つ

 ウテ・ボック(Ute Bock、1942-2018)は生涯にわたって難民を助け続けた稀有な女性である。元々ボックはウィーンの青年保護センターで教育者として働いていた。だが、周囲に多くの外国人が集まるようになり、いつしか難民に対する人道的援助に携わるようになる。さらに数々の制約に対処するため、『難民プロジェクト:ウテ・ボック』というNGO団体を設立。以来、難民が住める共同体を自費で運営し、駆け込んでくる難民に住居や食料を与えるのみならず、法的援助も行なった。100部屋を有する彼女のアパートには350人の難民が寝泊りし、1000人のホームレスが宛先住所として登録していた。NGOの資金は「Bock auf Bier」(「ビールが欲しい」ぐらいの意味。Bock Beerというビールの名前にかけている)という、ビールの代金の一部が寄付されるキャンペーンで支えられた。NGOの活動はボック亡き後も続いている。

 

 映画、『ウテ・ボックの狂った世界』(Die verrückte Welt der Ute Bock、2010、監督はフッシャング・アッラフヤリ、Houchang Allahyari)はドキュメンタリーではない。かと言って、ドラマでもない。実在の人物や起こった事件を本人や関係者たちに再現させるが、その場面にカール・マルコヴィクスなどプロの役者も登場する。つまり、現実と虚構の境を越えた映画作りとなっている。

1024px-Bock_for_President,_Audimax,_31.10.2009_(4)Houchang Allahyari (l.) mit Ute Bock und seinem Sohn Tom-Dariusch Allahyari bei der Vorpremiere von Bock for President (Viennale 2009)

 Attribution-ShareAlike 3.0 Unported (CC BY-SA 3.0)

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闘う障がい者、1980年前後

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 バニラエアで起こったひどい障がい者差別事件におどろいている。上に掲載したのは今から40年近く以前に、青い芝の会をはじめとする車イスの面々が当時の厚生省ロビーに集合し、抗議している写真である。撮影したのは私。正確な年月日は不明だが80年か、あるいはその前後2年ぐらいのものだろう。ネガは家のどこに仕舞い込んでしまったのやら、紙焼きも数枚しか見つからないが、闘う障がい者のカッコ良さが写っているのでとりあえず公開する。当時は東京でも大阪でも、車イスの男女が自主的に集まり、ありとあらゆる意味での社会の段差を取り払おうと声をあげていた。役所との交渉は激しい怒鳴り合いになったりもしたが、その緊張の中に不思議な開放感を感じる時代でもあった。
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障害と疾病の歴史――11世紀から今日まで(英国)

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 今回は映画から少しはなれた話題になった。以下に紹介するのは英国で障害者や病者がどのように生き、社会にとけ込んできたかの歴史を検証し、記録するウェブサイト(Historic England : A History of Disability: from 1050 to the Present Day) である。

https://historicengland.org.uk/research/inclusive-heritage/disability-history/


 時間に余裕のある方や英語原文で味わうのがおっくうでない方は、上記アドレスに飛んで内容をじっくり読んでいただきたい。このブログで私が紹介するのは要約である。
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ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー(1976年仏・コートジボワール合作)

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 ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー『La Victorie en Chantant, Black and White in Color』は、『バラの名前』や『スターリングラード』で知られる監督、ジャン・ジャック・アノーの処女長編。アノーはこの映画でいきなり1977年アカデミー外国語映画賞を獲得している。フランス語題名は、第一帝政時代の国歌にある「勝利を謳う」からの引用。
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『ミシシッピー・バーニング』から50周年

 
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 アメリカ合衆国のミシシッピ州で1964年、「フリーダム・サマー」という大規模なキャンペーンが行なわれた。同州黒人に対する有権者登録運動であると同時に、ミシシッピ全域にわたる小さな街々への自由スクールや市民共同体の浸透をも目的としていた。この運動の過程で、北部から多くのボランティアが合流したのだが、同年6月21日、James Chaney, Michael Schwerner, Andrew Goodmanという3人の青年が失踪する。同日3人は、乗っていた車から警察に拘束され、数時間、警察留置場に拘留された。この時に3人の情報がクー・クラックス・クラン(KKK)に流されたと言われている。その後3人は釈放されたが、これが最後の足跡となった。
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今週の拾い読み

【沖縄】
  • 女性専用の避難場所、県内は3市町村のみ 災害時の安全対策に遅れ 琉球新報が自治体に防災アンケート <国際女性デー2024>(琉球新報)
  • 沖縄の男女平等度、経済は1位から5位に転落 2024年の「都道府県版ジェンダー・ギャップ」 政治は低迷し28位(沖縄タイムス)
  • 沖縄タイムス辺野古・高江取材班 @times_henoko


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    【昨日のオンライン拾い読み】はこちら
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    【資料・長文記事】NED(全米民主主義基金)に関するファクトシート(中華人民共和国外交部、2022年5月7日) Fact Sheet on the National Endowment for Democracy (Ministry of Foreign Affairs of the People’s Republic of China)


    🎦『ヤジと民主主義』
    👉日程等はこちらの公式サイトで
    予告編(1分30秒、Youtubeより。画面右下の▢で大画面になります)

    【「人間の大地で、今」50回シリーズ】命を守る「難民認定」と「在留特別許可」外国人の長期収容・送還問題を考える(日本カトリック難民移住移動者委員会) https://www.jcarm.com/resources/terre-des-homme/

  • ドキュメンタリー『牛久』予告編👇👇https://www.ushikufilm.com/

  • 勝手におすすめジャーナリスト

    Richard Medhurst(リチャード・メドハースト,ジャーナリスト)

    勝手におすすめビデオ

    ドキュメンタリー「フツーの仕事がしたい」2008年作品、監督:土屋トカチ、70分カラー

    勝手におすすめサイト

    早稲田大学・水島朝穂のホームページ
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    記事検索
    【ウィシュマさん国賠名古屋地裁2024年】
     11回目2月21日14:30
     12回目5月22日1:30
    以下は大阪地裁2024年
    【大阪入管17人閉込め事件】
     1月30日13:15@809法廷
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    ※以前はナチスが絶対悪だったけど今は米国が取って代わった。で、日本はいつも邪悪な方と手を組むダサい奴。

    ※国民皆保険で私たちは「税金」として健康保険料を払っているのに保険証を寄こさないというのは詐欺の匂いがする。何を企んでいるのだろうか。

    日独韓伊の米軍基地


    《国会オンライン中継録画》
    ◎衆議院インターネット審議中継

    ◎参議院インターネット審議中継


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    戦争の彼方
    ¥1650(税込)


    ウィーンへの帰還
    ¥1650(税込)


    赤いオーケストラ
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    革命の内側¥1650(税込)

    当研究所制作の美術書

    テオドール・ジェリコーの習作
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    モーティマー・メンペス作品選Ⅱ:ブルターニュ
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    モーティマー・メンペス作品選:日本と世界と戦争と
    ¥2530(税込)


    ドラクロワ素描集
    ¥1100(税込)

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