米国は他国への執拗な経済制裁や恫喝、軍事介入などで、暴力的な正体をますます露にしてきている。だが実は、NGOのネットワークを使うという目立たない方法でも、世界を好きなようにコントロールしてきたという実態は案外、見逃されがちだ。このことを扱ったロシアの新しいドキュメンタリー、『NGOの敵対的乗っ取り』(2024年1月12日公開)を今回は取りあげる。
たとえばロシア連邦の場合、現存する数千のNGOのうち法務省に公式に登録されているのはわずか92団体で、他はほとんど米国政府と公的機関、もしくは米国の息のかかったNATOの傘下に作られたものである。ロシアの人権活動家の間ではおなじみのNED(全米民主主義基金)も米国政府が設立した基金で、以前はCIAが担っていた役割を引き継いでいる。法律家のイリヤ・レメスロは、NEDが中東やウクライナや南米の国々でカラー革命を組織してきたと指摘し、長年NEDのトップにいたカール・ガーシュマンも、「CIAがカラー革命に関与していることは秘密ではない」と認めている。
同様のNGO組織は他にも、NDI(国際民主党研究所)、IRI(国際共和党研究所)、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、カーネギー国際平和基金、モスクワ・ヘルシンキ・グループ、米国自由の家(US Freedom House)など、たくさん存在する。